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セキニシパ~

セキニシパ~

 部屋から出さない。外の世界を見せない。それだけ切り取ればこんな酷い話はねえと言いたくもなるだろうが、好いた女に自分以外見て欲しくないと思う感情は紛れもなく愛だろ?「なんにもできなくたっていいぜ。それはわるいことじゃない」
 わたし、このままじゃいけない気がする。
 そう告げたわたしを嗜めるように、わたしの髪を優しく撫でながら彼がそう呟いた。
「みんな普通にやってることだよ」
「普通なんて誰が判断するんだよ」
「だれって……みんなだよ」
「みんなって誰だ?」
「だ、だれって……たくさんの人」
「いつだってあんたの味方でいる俺より、そんな有象無象が告げる言葉の方を信じるってえのか?」
 まるでわたしがひどい人間であるかのような言い草でそういうものだから、わたしは大慌てで否定する。そんなことない。わたしが生きているのは全部セキのおかげだし、セキがわたしを許してくれたからこの里にいることができているのだ。でも。
「でも、わたし、ずっと、セキの家から出たことないよ」
 最初は療養のため。その次は里のみんなに虐められないようにするため。その次は外の世界に住まうこわい生き物に襲われないようにするため。
 色々や理由を重ねて、わたしは今に至るまで彼の家を出たことがなかった。閉じられた一室、決して狭くはない広い部屋に閉じこったまま、彼の帰りだけを待つ。家の中ならある程度の自由は許されているし、イーブイと呼ばれる愛らしい犬のような生き物が常にわたしのそばにいてくれたから、ひとりぼっちではなかった。わたしが作った料理をうまいうまいと食べてくれるのも、寒い夜に優しく抱き寄せて眠るのも、もちろん嫌だったわけではない。
 でもわたしは外を知らなかった。仕事もしていないし、誰かと交流だってしていない。空から落ちてきたというわたしが、誰かに挨拶のひとつもすることなく閉じこもり、こうして彼におんぶにだっこをしてもらうことは、本来はやってはいけないことなのだ。
 このままじゃいけない。このままじゃ、生きてはいけない。人として大事ななにかを、失ってしまうような気がする。
「それの何がだめだってんだ?」
「え?」
「それを誰が非難する。誰が許さない?」
「え、え」
 ぴくりと片眉を吊り上げながら、冷めた瞳で告げられた言葉にわたしはおどおどと弱い声を漏らした。
 誰が非難する、だとか、誰が許さない、だとか、そういう話ではない気がする。わたしの人間性がおかしくなってしまうような、そういう話なのであって。
「あんたがオレがいないと生きていけないのも、あんたがオレなしだと何もできないのも、ぜんぶオレが望んだことだぜ」
「セ、セキ、なに? こわいよ」
「なら人間なんてやめちまえ。ぜんぶおかしくなっちまえばいい。どうせあんたはこの世界にいなかった人間なんだから、あんた一人が人間じゃなくなったって誰も気付きはしないだろう」
 怖い顔をして、怖い言葉を告げるセキに、わたしのからだは勝手にぶるりと震えた。どうしようもなくなったわたしの頬に手を添えて、教え込むようにセキが告げる。
「なあ、何もわるいことなんてありやしないんだ」畳む
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メッセージありがとうございまし…

メッセージありがとうございました
嬉しいです とても 励みになります

以下謎ネタの話
旅人だけは明確にプレイヤーのことを感知していて、我々と出会った時に「あ!プレイヤーだ!」と気付いた、みたいなかんじ
好感度10に近ければ近い人ほど我々に不思議な親しみを覚える し 気になって仕方なくなる、とかあるといい畳む

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全員との繋がりを断たないと帰れ…

全員との繋がりを断たないと帰れないから律儀に全員をフろうとした、とか…?
何はともあれ、あんなに我の強いひとたちをフれるはずもないので、帰れるはずもなく…
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原作の12股は主人公の浮気癖に…

原作の12股は主人公の浮気癖に意味があるけど、今回のパロディ主は原作既知ゲームプレイヤー主で、ミーハー心が故に股掛けしてた、みたいなイメージ
(で、浮気バレした+元の世界に帰れる方法が分かったから全員フって帰ろうとした、みたいな…)
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でも頭では我々が死んだって分か…

でも頭では我々が死んだって分かっているんだけど、認めたくない、信じたくない、こんなの現実じゃない、こんなのは夢だ夢だ……で酒に逃げて 妄想の我々と酒飲みするんですか⁉️する した… そんなイメージ
(でもこのネタはちゃんと我々が死亡軸世界にトリップすることで死亡軸世界線のヵくんたちは救われます)(じゃあ我々がいた世界線のヵくんたちは?)(今も行方不明になった我々を探している……)
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◻️お知らせ

10/12
新刊が出ます(ルムメ愛憎監禁本)
頒布日は未定 たぶん今月末か来月
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